ママ・パパの育児の悩み 生後6ヶ月ごろ

生後6ヶ月で人見知りが始まった?原因と接し方

これまでは誰に抱っこされてもにこにこしていたのに、ある日から知らない人を見ると顔をこわばらせて泣く。
生後6ヶ月ごろ、多くのご家庭でこの変化が起こります。心配になりますが、これは育った証です。

さきにお伝えしたいこと

  • 生後6ヶ月で始まっても、早すぎることはありません
  • 泣くのは嫌われたからではなく、「近づきたいけど怖い」から
  • いちばん強いのは1歳前後。2歳までに落ち着くとされています
  • そして、育て方のせいではありません

いつから始まるの?

結論からお伝えすると、生後6ヶ月で始まっても早すぎることはありません。

「まだ早いのでは」と気にされる方が多いのですが、 資料によって書き方が違うだけで、6ヶ月ごろという説明もきちんとあります。

人見知りが始まる時期の書かれ方
資料始まりいちばん強い時期落ち着く時期
保育所保育指針解説
(厚生労働省)
生後6ヶ月ごろ 7〜8ヶ月ごろから激しく 記載なし
MSDマニュアル家庭版
(医学の解説書)
生後8〜9ヶ月 生後10ヶ月〜1歳半 2歳までに治まる

保育の現場では「知らない人に反応しはじめる」ごく初期から数え、 医学の資料では「はっきり不安として出る」段階から数えています。 どちらかが間違っているわけではありません。

赤ちゃん57名を調べた日本の研究でも、 「人見知りが表れる時期はさまざまで、個人差がとても大きい」と報告されています。 (東京大学・京都大学・理化学研究所・同志社大学の共同研究、2013年)

まだ、自分では逃げられない時期です

生後6ヶ月の赤ちゃんに何ができて、何がまだできないのか。 ここを知っておくと、対応の見当がつきます。

手がかりになるのが、こども家庭庁「令和5年乳幼児身体発育調査」です。 おうちの方が「できる」と答えた割合を全国で集計した、アンケートの結果です。 (昭和25年から10年ごとに続いている調査。2024年12月公表)

おうちの方の9割以上が「できる」と答えた月齢
できること9割を超える月齢
首のすわり生後4〜5ヶ月未満
ねがえり生後6〜7ヶ月未満
ひとりすわり生後9〜10ヶ月未満
はいはい生後10〜11ヶ月未満
つかまり立ち生後11〜12ヶ月未満

生後6ヶ月は、ちょうどねがえりが9割を超えるころ。 ひとりすわりが9割を超えるのは、その3ヶ月あとです。

つまりこの時期の赤ちゃんは、怖いと感じても自分でその場を離れられません。

できることは、泣いて知らせることだけ。 「そんなに泣かなくても」と思ってしまう場面も、赤ちゃんにとってはそれが唯一の方法なのです。

どうして泣くの?

困った行動のように見えますが、人見知りは力が育った結果として説明されます。理由は2つです。

01

顔を見分けられるようになった

いつも見ている顔と、そうでない顔を区別できるようになりました。 見分けられるからこそ、「知らない人だ」と気づけます。

02

安心できる人が、はっきりした

特定の大人とのやりとりを通じて、心のきずなができてきます。 安心できる人がはっきりしたぶん、そうでない相手が不安になります。

「嫌い」ではなく「近づきたいけど怖い」

泣かれると「嫌われてしまった」と感じてしまいます。でも、そうではありません。

生後7〜12ヶ月の赤ちゃん57名を調べた日本の研究があります。 お母さんへのアンケートで人見知りの強さを答えてもらい、 それと赤ちゃんが実際にどこを見ているかを照らし合わせたものです。 (東京大学・京都大学・理化学研究所・同志社大学の共同研究、2013年)

わかったこと

  • 人見知りの強い子は、「近づきたい」気持ちも同じくらい強かった
  • 人見知りの強い子ほど、相手の目をじっと長く見ていた
  • 見つめ返されると目をそらし、相手が目をそらすと、よく観察していた

研究チームはこれを「近づきたいけど怖い、という心の葛藤」と説明しています。

興味があるからこそ、じっと見てしまう。見てしまうから、こわくなる。
この順番だと知っているだけで、泣かれたときの受け止め方がずいぶん楽になります。

人見知りをしない赤ちゃんもいます

まったく人見知りをしないまま大きくなる赤ちゃんもいます。 上の研究でも、強さには子どもごとに大きな幅がありました。 誰にでも笑いかけられるのは、その子の持ち味です。

よくうかがう、ご心配

私たちがふだんお聞きするお声のなかから、とくに多いものを挙げます。 同じことで悩んでいるのは、けっしてご自身だけではありません。

私の育て方が悪かったのでしょうか

いいえ。むしろ逆です。 人見知りは「安心できる人がはっきりした」から起こります。 つまり、あなたが赤ちゃんにとって安全な人になった証です。

厚生労働省の保育所保育指針解説も、乳児期には 特定の大人とのやりとりを通じて心のきずなが育つとしています。 人見知りは、そのきずなができてきた時期に現れます。

発達に問題があるのではないでしょうか

人見知りがあること自体は、発達の心配を示すものではありません。 始まる時期は資料によって6ヶ月ごろ〜8〜9ヶ月と幅があり、 研究でも「個人差がとても大きい」と報告されています。

人見知りをしないことも、同じく個人差の範囲です。 どちらか一方が正しいということはありません。

ただし、2歳を過ぎても強い状態が続き、 園に通えない・友達と普通に遊べないといった様子があるときは、 かかりつけの小児科にご相談ください。

私以外だめで、少しも休めません

いちばん多く、いちばん切実なお声です。 先の見えなさがつらいところですが、いちばん強いのは1歳前後までで、 2歳までに落ち着くとされています。ずっとこのままではありません。

そのうえで、いま少しでも楽になる方法をいくつか。

  • 同じ人に、何度も会ってもらう。会う人を増やすより、同じ相手と回数を重ねるほうが慣れます
  • お母さんが見える場所で預ける。いきなり別室ではなく、姿が見えるところから
  • 抱っこを代わるのは、機嫌のいい時間に。眠い・お腹がすいたタイミングは避ける
  • 泣いてもすぐ返さない、を無理にしない。お母さんの消耗が増えては元も子もありません

預けられないことをご自身の力不足のように感じてしまいますが、 この時期の赤ちゃんは、そういうふうにできています。

実家や義実家で泣かれてしまい、気まずいです

会う前にひと言、先に伝えておくのがいちばん効きます。 泣いてから説明するより、ずっと角が立ちません。

「いま人見知りの時期で、慣れるのに15分くらいかかります。 最初は目を合わせずにいてもらえると助かります」—— このくらい具体的にお願いすると、相手も動きやすくなります。

目を合わせないようお願いするのには、理由があります。 研究で、人見知りの強い子ほど相手の目を長く見ており、見つめ返されると目をそらすことが 分かっているためです。保育の現場でも「じっと見つめるのは控える」とされています。

上の子はこうではありませんでした

ごきょうだいで違うのは、よくあることです。 人見知りの強さはその子の気質によって大きく変わります。

さらに、海外の研究ではまわりの大人がどう近づくかによっても出方が変わることが示されています。 上のお子さまのときとご家族の状況が違えば、現れ方が違っても不思議ではありません。

いつまで続くの?

医学の解説書では、いちばん強いのは生後10ヶ月〜1歳半2歳までに治まるとされています。 (MSDマニュアル家庭版)

生後6ヶ月に始まったとすると、大変な時期はこれから半年から1年ほど先まで。 気の長い話ですが、先が読めているほうが予定は立てやすくなります。

帰省や親戚の集まり、写真撮影は、「泣くかもしれない」を前提に組んでおくと当日が楽です。

相談を考える目安

2歳を過ぎても強い状態が続き、保育園や幼稚園に通えない、 友達と普通に遊べないといった様子が見られる場合は、かかりつけの小児科にご相談ください。 (MSDマニュアル家庭版は「人見知りがとても強いか、長引いている場合は、より全般的な不安の徴候かもしれません」としています)

どう接したらいいの?

泣かせないようにすることが目的ではありません。 赤ちゃんの中には「近づきたい」気持ちも同時にあります。その気持ちが勝つまで待つのが近道です。

  1. 無理に抱っこさせない

    嫌がっているのに手渡すと、「知らない人に近づくと怖いことが起きる」という経験になってしまいます。 まずは抱っこされたまま、離れたところから見せるだけで十分です。

  2. おうちの方が先に、楽しそうに話す

    赤ちゃんは、安心できる人がその相手をどう扱っているかをよく見ています。 お母さん・お父さんが笑って話している様子が、いちばんの説明になります。

  3. じっと見つめ返さない

    相手の方には「目が合ったら、いったんそらしてください」とお願いしてみてください。 そのほうが赤ちゃんは相手をよく観察できます。

  4. 慣れる時間を、はじめから予定に入れる

    会ってすぐ抱っこ、ではなく15分ほど同じ部屋で過ごしてから。 それだけで大丈夫なことがよくあります。急ぐほど長引きます。

  5. 叱らない、謝りすぎない

    泣いたことを責める必要も、周りに何度も謝る必要もありません。 「いま人見知りの時期なんです」とひと言添えれば、たいていの方は分かってくださいます。

ほかの人は、どうしている?

毎日たくさんの子どもに会う保育の現場発達の専門家、そして海外の研究。 それぞれどう言っているかを並べてみます。

保育の現場でしていること

  • 無理に目線を合わせない。じっと見つめるのは控える
  • 子どものペースを尊重し、時間をかけて安心感を積み上げる
  • 保護者やほかの保育士と楽しそうに過ごす様子を見てもらう
  • すでに懐いている保育士に協力してもらい、間接的に信頼をつくる

発達の専門家の助言

人見知りが強い子には、段階を踏むことがすすめられています。 (和洋女子大学 佐藤有香教授 監修の記事より。幼稚園教諭・保育士・臨床発達心理士の経歴をおもちの方です)

慣れる順番の例

  • おうちの方 → 祖父母 → 子育て広場と、少しずつ広げていく
  • 同じ場所に通うと、安心感と新しい出会いを両立できる
  • 無理に克服させない。穏やかに少しずつ社会と接する機会をつくれば、自然と落ち着いていく

海外の研究:出方は、育つ環境でも変わる

ドイツカメルーンで育つ1歳児22名が、初対面の人と会った最初の1分間を比べた研究があります。 (Otto ほか、2014年・Journal of Cross-Cultural Psychology)

わかったこと

  • ドイツの大人は子どもの反応に合わせて関わり、お母さんの様子をうかがっていた
  • カメルーンの大人はこちらから働きかけ、お母さんの様子はうかがわなかった
  • ドイツの子は自分から動き、カメルーンの子は相手の誘いに従った

つまり、人見知りの強さはその子の性格だけで決まるものではありません。 まわりの大人がどう近づくかにも左右されます。

裏を返せば、大人のふるまいを変えれば、赤ちゃんの反応も変わりうるということです。

言っていることは、ほとんど同じでした

出どころのまったく違う3つですが、行き着く先は同じでした。 見つめない・急がない・安心できる人が先に。 迷ったら、この3つに戻れば大丈夫です。

それぞれが言っていること
見つめない急がない安心できる人が先に
2013年の研究
(視線の測定)
保育の現場
発達の専門家

まとめ

  • 生後6ヶ月で始まっても早すぎることはありません
  • この時期はまだ自分で逃げられないから、泣いて知らせています
  • 泣くのは嫌われたからではなく、「近づきたいけど怖い」から
  • 育て方のせいではありません。安心できる人ができた証です
  • 1歳前後がいちばん強く、2歳までに落ち着くとされています
  • 接し方の要点は急がないこと。無理に抱っこさせない、見つめ返さない、叱らない
  • 人見知りをしない赤ちゃんもいて、それも個人差の範囲です